2021年1月22日開催今回の研究集会は、二つの目的を持って企画されました。一つは、KU-ORCAS 四年間の活動を振り返り、その成果を総括すること。 もう一つは、資料のデジタル化によって価値付与をはかるDigitizationから、それを活用して新たな価値創造をめざすDigitalizationへのステップアップを意識し、研究の方向性を見定めることです。その内容について 以下の五つの発表が行われました。
01
永井 正勝
東京大学 U-PARL 副部門長・特任准教授
「東京大学アジア研究図書館デジタルコレクションの構築と今後の展開」 永井先生からは、2020年10月に開館した東京大学アジア研究図書館と、 それを支える研究部門であるU-PARLの活動が報告されました。 後半では、全学的なデジタルコレクションの構築体制と、人文知を付与したデジタルアーカイブの意義が紹介され、 今後のデジタルヒューマニティーズの展開に貴重な示唆が提示されました。
02
奥村 佳代子(ユニット1主幹)
関西大学外国語学部・教授
「周縁」をキーワードに選りすぐった中国語研究に関連する近現代の文献を 「東アジアデジタルアーカイブ」に書誌情報付きで公開し、資料調査と閲覧が容易になりました。 また、運用再開の「近代漢語文献データベース」の活用による近代語研究の進展が期待されます。
03
吾妻 重二(ユニット2主幹)
関西大学文学部・教授
かつて大阪最大の私塾であった「泊園書院」の文庫・印章デジタルアーカイブの整備や、 泊園門人データベースの構築と展望につき述べました。 「大坂画壇」についてはそのデジタルアーカイブと「塗り絵大坂画壇」、 イギリスとの共同展示会について紹介しました。
04
西本 昌弘(ユニット3主幹)
関大博物館所蔵の金石文拓本資料、関大図書館所蔵の内藤文庫本・長澤文庫本、 「大阪関係史料」中の絵図・地図などの調査と撮影を進め、 明日香村の中尾山古墳の発掘調査を実施しました。 それらの中から難波・飛鳥研究に関わるデータと論点を紹介しました。
05
菊池 信彦(ユニット4主幹)
関西大学東西学術研究所・特別任用准教授
本報告では、天下の弧本である廣瀬本万葉集を対象に、 人文学データの国際標準とするべく進めたTEIマークアップ化プロジェクトとコロナ禍の記録と記憶を 後世に残すために開発したコロナアーカイブ@関西大学について、デジタルヒューマニティーズの 観点からそれらの意義について論じました。