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おしらせ2022.04.07

センター長からのご挨拶

平素より関西大学アジア・オープン・リサーチセンター(KU-ORCAS)の研究活動にご尽力をいただき、まことにありがとうございます。当センターは、私立大学研究ブランディング事業として、2017年11月に採択され、今年度は5年目の研究プロジェクトの最終年度となりました。

思い起こせば、5年前の2017年、人と世界に開かれたデジタルアーカイブの構築とその活用を目指し、本センターを立ち上げました。私たちは、関西大学の東アジア研究の長い伝統とこの十数年来の目覚ましい研究実績に基づき、「デジタル技術に裏打ちされた東アジア研究のオープン・プラットフォーム」を目標に、デジタル・ヒューマニティーズの手法による東アジアの言語、思想、歴史等に関する研究に情熱を傾けて参りました。

私たちの道は、決して平坦なものではありませんでした。5ヵ年の計画としてスタートした研究ブランディング事業は、2019年2月に、補助金支援の終了となりました。
また2020年2月以降は、今度は新型コロナウィルスの影響を受けました。幸い、関西大学の法人と教学からの全面的な支援を引き続き得ることができ、コロナ禍という極めて困難な状況下、メンバー全員が当初の計画を厳守し、着実に研究成果を挙げてきました。

最終年度、私たちは、KU-ORCAS2021研究集会「日本におけるパブリックヒューマニティーズ/公共人文学の現在地」(2021年11月12日、パブリックヒストリー研究会との共催);国際シンポジウム「近代の“西餐”、“洋飯書”及び“大餐館”」(2021年11月18~19日、復旦大学歴史学部との共催);国際シンポジウム『東アジアDH研究の推進とそのための環境の構築――次世代の東アジア文化交渉学のために』(2021年12月11日)などのイベントを積極的に開催し、世界に向けて発信を続けてきました。

また5年間の研究成果を収載した論文集も公刊になりました。

2022年3月をもって研究プロジェクト自体は一旦の区切りとなります。当センターの研究活動を支えてくださいましたご関係者の皆様には、有終の美を飾ったと胸を張る一方、しかし、これは終結点ではなく、あくまでも通過点に過ぎないという思いです。
関西大学は10年ほど前から、「東アジア文化交渉学」という新たな学問体系を提唱してきましたが、特に、文化交渉の観点を取り入れながら、東西学術研究所の研究課題である「東西両洋文化の比較研究」を強力に進めて参りました。

私たちは、関西大学の強みであるアジア学に、デジタル・ヒューマニティーズの導入と定着を促進し、日本における東洋学の新たな発展のための学術基盤を形成することを目的とする「特色ある共同利用・共同研究拠点」の申請を致しました。結果の如何に関わらず、KU-ORCASの名称をそのままにし、中国学・東洋学の研究リソースをデジタル化された形で提供し続け、それらを活用したデジタル・ヒューマニティーズのさまざまな研究モデルを継続的に発信し続ける次の時代の研究センターとして、重要な役割を果たして行く所存であります。

2022年3月吉日
KU-ORCASセンター長
沈国威