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活動報告

PILOT2021.04.21

関西大学所蔵貴重漢籍目録作成プロジェクト 二ノ宮 聡PD

KU-ORCASでは、2020年10月より中国・山東大学のプロジェクト「全球漢籍合璧工程調査目録編纂複製作業」の一環として、関西大学総合図書館所蔵の貴重書目録を作成しています。
本プロジェクトは、世界各地の図書館や研究所に所蔵される貴重漢籍を網羅的に調査し目録を作成するものです。
収集した目録の中でも特に貴重な版本は、データベースでの公開も将来的には視野に入れているとのことです。
そこで、本学総合図書館にも多くの貴重漢籍が所蔵されているため、山東大学からプロジェクト協力の依頼があったものです。

本学以外にも名古屋大学、東北大学、愛知大学など日本各地の図書館が本プロジェクトに協力しておられ、山東大学から目録調査専門の研究員が派遣されています。しかし、関西大学では、本学大学院生を中心として作業を進めており、ここが他大学との大きな違いでありましょう。

本学総合図書館の貴重漢籍と一口に言っても、様々な個人文庫に所蔵されているもの、さらに閉架図書に収蔵されているものなど、種類や範囲が多く見落としが生じる可能性があります。そこで、まずは玄武洞文庫所蔵の『孝経』(およそ500冊)を網羅的に調査し、次に本学個人文庫でも貴重漢籍が多い内藤文庫を調査対象としました。この二つの文庫だけでも対象数はおよそ2万件(タイトル)程度になると思われ、2021年度末の作業完了を目指します。実は山東大学のプロジェクトは10年間に及ぶ長大な計画であり、関西大学はその一部に協力しているに過ぎません。

作業に従事する学生は、事前に山東大学の講習会を受けました。ですが、多くの学生は漢籍に触れたことはあるものの、版本を専門に学んだ経験はありません。そのため最初のうちは山東大学が作成したマニュアルや板本の基本書を参照しながらの目録作成となり、ペースは非常に遅いものでした。しかしながら、一月程度経つと次第に作業に慣れていき、作業ペースも徐々に上がっていきました。

書籍の板式は、マニュアルや基本書に書かれていない例外も多く、そういう書籍を扱う場合は、皆で意見を交換し、さらに板本知識が豊富な作業者に確認するなどして、入力項目のミスをできるだけ減らす工夫もおこなっています。

「全球漢籍合璧工程調査目録編纂複製作業」は、一見すると書誌収集を目的としたプロジェクトではありますが、その先には山東大学のデータベース上で貴重板本やリストの公開を見据えていて、世界規模の漢籍デジタル化プロジェクトとも言う事ができます。そのため、今後はKU-ORCASが進めている「東アジア・デジタルアーカイブ」との協力も大いに期待できると考えます。

漢籍目録作業の様子(総合図書館)