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活動報告

UNIT 22020.03.23

「大坂画壇展企画の進捗報告-イギリスとの提携を踏まえて-」中谷伸生

大英博物館(British Museum)と京都国立近代美術館、そして、ロンドン大学と関西大学(KU-ORCAS)との共同企画展覧会の構想が生まれて約3年が経過しました。もともとの構想は、ロンドン大学アジア・アフリカ学部のアンドリュー・ガーストル教授と関西大学の中谷伸生とが話し合って始めた企画です。

関西大学には約700点の大坂画壇の絵画作品が所蔵されていますが、イギリス・ロンドンの大英博物館にも、約2万5千点を越える日本美術作品が収蔵されています。そこには、大坂を代表する知識人の木村蒹葭堂周辺の画家たちの絵画が含まれていて、今や大英博物館は、大坂画壇のメッカとなっています。この大坂画壇の作品群を日本に借用して来て、「大坂画壇と京の文化サロン」(仮称)展を開催するのが当初の構想でした。加えて、この企画では、内外の研究者による研究成果を展覧会に結実させるという学術的な目的があります。

すでに、2016年9月に前哨研究集会「18世紀と19世紀の日本における芸術と文化サロンの役割」(於ロンドン大学)を開催し、それを皮切りに、2017年9月にはポルトガル国際シンポジウム「大坂画壇の再評価と展覧会企画」(於リスボン大学)、また、2018年7月にはKU-ORCAS国際シンポジウム「大坂画壇と京・大坂の文化ネットワーク」(於関西大学)、さらに、2019年4月には大英博物館日本美術部のティモシー・クラーク氏主宰の作品調査会も行われ、研究集会「大坂と京の文化とデジタル化」(於ロンドン大学)を開催しました。加えて、2019年8月にも東西学術研究所国際シンポジウム「大坂画壇と京の文化をめぐる研究と展覧会企画」(於関西大学)など、日英協力による研究は着実に積み重なって、大きな成果になりつつあるといってよいでしょう。

振り返ってみれば、大坂画壇の大規模な展覧会は、1981年開催の「近世の大坂画壇」展(於大阪市立美術館)以後、約40年間、同様の展覧会は開かれておらず、その意味では、今回、関西大学とイギリスとの連携企画展は、大きな意義をもつといってよいと思います。いうまでもなく、この展覧会には、関西大学が所蔵する大坂画壇の作品群を出品する予定であり、関西大学の文化力を世界へ発信する高い目標があります。

 

大英博物館のクラーク氏