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活動報告

PILOT2018.12.20

「中国石刻資・史料アーカイブズ」  森部 豊

1.概要

本ユニットは,本年度は個人で活動しており,グループによる成果はない。アーカイブズ構築に関する作業については,直接,構築に関わる具体的なものは行わず,その予備作業として石刻史料にもとづく個別的研究の発表,および中国大陸における石刻資・史料に関する調査とそれに関するシンポジウムへの参加をおこなった。

本ユニットが当面目指すものは,関西大学東西学術研究所が所蔵する中国出土の石刻資・史料のアーカイブズ構築とその公開である。その先には,例えば,現在,冊子体で公開されている中国の北朝,隋,唐,五代など各時代の墓誌目録をデータベース化することも見据えているが,2018年度の段階では,まだ具体的見通しは立っていない。

その一方,本ユニット担当の個人的作業として,まず,中国遼寧省朝陽市から出土した唐代の墓誌を利用し,唐朝の非漢人に対する支配の形態(羈縻支配)を,従来の「間接統治」という見方から一歩進めて「直接統治」の側面があったことを浮かび上がらせた研究発表を行った。また,同じく中国出土の墓誌史料を利用することにより,中国唐代から五代にかけて,ソグド人が政治・軍事的に中国史の展開に大きく関与していた事実を概括的に講演した。

なお,2018年12月8日に関西大学東西学術研究所の第13回研究例会を開催し,中国遼寧省朝陽市出土の墓誌をめぐって,唐代のこの地域にいた契丹人と高句麗人に関する研究発表を行った。この研究例会はORCAS活動の一環と表明していないが,内容的には,深く関係するものである。

 

2.今年度の調査・研究成果

①【海外調査】モンゴル国における突厥・ウイグル時代の石刻史料調査(2081年7月23日―7月31日)

②【海外調査】中国内モンゴル・遼寧省における唐・契丹国(遼)時代の石刻史料調査(2018年)

③【研究発表】森部豊「唐朝の羈縻政策に関する一考察―唐前半期の営州都督府隷下羈縻州を事例として―」,東洋史研究会2018年度大会,2018年11月4日,京都大学

④【招待講演】森部豊「石刻史料から見た唐五代のソグド武人」,翟門生的世界・石刻上的南北朝学術研討会,2018年11月17日―18日,中国・深圳市南山博物館

⑤【研究発表】森部豊「唐前半期の営州における契丹人と高句麗人」,2018年度第13回研究例会,関西大学東西学術研究所