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DHR研究班

DHR研究班 -Digital Humanities Research-

【研究テーマ】
デジタル・ヒューマニティーズの現況をリサーチし、応用することを推し進める

  

2024年3月2日 KU-ORCAS第2回研究集会

AIを用いた「再現」の問題点 師 茂樹
近年、AIを用いた過去表象(歴史実践)が広がっている。そのなかには、故人との「再会」を目的としてAIで「復元」しようとするもののほか、日本赤十字社・関東大震災100年プロジェクト「100年前の100人の新証言 ~データとAIで紐解く、あの日に起きたこと。」のように、ある種の展示としてAIを用いるものや、AIを用いた白黒写真のカラー化など、デジタルアーカイブの文脈で行われている例もある。AIにデータ(文献など)を学習させ、何らかの解釈の可能性を提示させる研究も、広義の過去表象といえるだろう。こういった実践や研究の一部に対しては、「死者への冒涜だ」だといった批判、違和感が表明されている。3DCGなどによるAIを用いない「再現」を含め、これまで人間が行ってきた過去表象とAIによる過去表象は何が異なるのか。問題提起とともに検討する。



2024年1月27日 KU-ORCAS第1回研究集会

概要 主幹 二階堂 善弘
まず、二階堂善弘主幹が「KU-ORCAS所蔵漢籍データベースの現状と活用」とのタイトルで、発表を行った。KU-ORCASに所蔵される漢籍データベースについては、サーバ運用からクラウドによるアクセスに変更された。その利用法と新たに生じた問題などについて話した。次に、二ノ宮聡研究員が、「KU-ORCAS所蔵データベースの外部アクセス利用」とのタイトルで、報告を行った。KU-ORCAS所蔵の漢籍データベースは、VPNによる利用で、外部からのアクセスが可能になる。その方法と問題点について解説した。休憩を挟んで、DHR班全員(二階堂善弘、師茂樹、佐藤仁史、永崎研宣、小島浩之、田邉鉄、二ノ宮聡各研究員)による座談会「アジア研究データベースの活用」が行われた。東方書店の提供により、トライアルで『経典古籍庫』などの漢籍データベースが一箇月使用可能となったので、その利用と将来的な可能性について討論を行った。各研究員から多くの貴重な意見をいただけた。

KU-ORCAS所蔵漢籍データベースの現状と活用   二階堂 善弘
KU-ORCASに所蔵される漢籍データベースについては、愛如生の『中国基本古籍庫』、『方志庫』、『申報』や、凱希メディアサービスの『道蔵』『六国史』などのデータベースが使用可能となっている。いずれも、サーバ運用からクラウドの使用になったため、格段に使いやすくなった。特に、『基本古籍庫』は、画像とデータが連動するようになり、元データの確認が容易になった。また、検索精度も上がっている。しかし、院生などが利用する場合、訓点を施すことなくそのまま論文に引用することが多くなってきたため、自動標点を施すサイトの利用も促すべきではないかと提言を行った。同時に、ひとつの機関だけで運用することの難しさについても、問題提起を行った。

KU-ORCAS所蔵データベースの外部アクセス  二ノ宮 聡
本報告は、KU-ORCASが所蔵するデータベースに関して、学外ネットワークからVPNを使用し接続した際の状況について「KU-ORCAS所蔵データベースの外部アクセス利用」と題して報告した。データベースは、主に中国の愛如生社の中国基本古籍庫を使用した。これらデータベースは、大学のIPアドレスによる自動認証のためVPNを使う必要がある。まずVPN接続については、関西大学ITセンターの利用マニュアルに従い接続を試した。接続方法は有線、無線、Windows、Macをそれぞれ組み合わせ複数の接続をした。マニュアルの手順に従い接続を試み、いずれの方法も問題なく接続できた。一方で、有線と無線の接続では接続速度に顕著な違いが見られた。これは接続場所や時間も影響するだろうが、発表者が接続を試みた限り、有線接続が安定していた。VPN等を利用した外部からのアクセスはすでに一般的になっている。一方で、こうした情報をしらない人もまだまだ多い。今後は、こうした利用法の周知を如何にしていくかが、課題の一つであろう。